金沢大学 医薬保健研究域医学系 機能解剖学分野 機能解剖学分野

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研究内容

痛みは生体の警告系として重要であるが、一方で、必要以上の痛みや慢性的な痛みは私たちを苦しめる。当研究室では、新たな痛みの治療法を開発するために痛みのメカニズムの解明に取り組んでいる。

内臓や筋の痛みは、頻度が高く臨床的にも重要で、皮膚の痛みと様々な点で異なる特徴をもつことが知られるがいまだ不明な点が多い。そこで消化管に代表される内臓や筋の痛みの受容伝達のメカニズム、疾患に伴う痛覚亢進のメカニズムを明らかにすることに特に力を入れている。

また、原因が取り除かれても長期に続く痛みを慢性痛と呼び、それは警告系としての役割は無く、不安や抑うつ状態などを引き起こして生活の質を低下させる問題がある。慢性痛モデルを用いて、慢性痛への移行の機序や治療の研究にも取り組んでいる。

具体的な研究課題は以下のとおりである。

  1. 各種疾患モデルを用いた、炎症や外傷、様々な疾患などに伴う痛みのメカニズムの解明
  2. 機能性消化管障害や筋筋膜性疼痛症候群など、新たな機能性疼痛モデルの開発とその解析
  3. 疼痛伝導系の神経解剖学的・生理学的研究

いずれの研究においても、生命現象を分子から個体レベルまで理解することの重要さを踏まえ、形態、生理、分子細胞学的手法を駆使し研究を進めている。

研究内容
  1. 三叉神経節に見られた知覚神経細胞。矢印で示した黄色の細胞はP物質を含んでいて,顔面の痛みを伝えている。
  2. 胃の痛みを伝える知覚神経の活動電位。大内臓神経には痛みを伝える高閾値受容器が見られる。
  3. whole mount免疫組織化学法によるスンクス膵臓の自律神経。矢印で示したのは血管(SpA,SpV)および膵管(LPD)に伴行する自律神経線維。
  4. 筋損傷時の再生筋線維(矢印) 。
  5. 再生筋線維に発現した神経成長因子(矢印)。筋筋膜性疼痛に関わる。